■ 役行者の妙薬 1 1 2 3

 「だらすけは、腹よりはまず顔にきき」

 天保年間に詠まれた有名な川柳でありますが、陀羅尼助は役行者によって創製されたという伝承があり、その薬名は、役行者の孔雀明王陀羅尼経に由来するといわれております。
 ただし、文献上に陀羅尼助という名が見られるのは、浄瑠璃「義経千本桜」に陀羅尼助の請売人が登場する延享四年ということで、役行者の時代からは随分と後のことです。
 陀羅尼助には、役行者を創始とする大峰山、吉野山、葛城山のものと、弘法大師創始とする二系統があるようです。
 葛城山の当麻寺中之坊のサイトに、本家・元祖争いについて興味ある記述がありましたので引用させていただきます。

●ダラニスケとダラスケ
 ところで、陀羅尼助は一般に「ダラスケさん」の略称で親しまれていますが、これに関しても面白い記録があります。
 江戸時代、吉野大峯と当麻中之坊が双方陀羅尼助の本家を主張して譲らず、やむなく裁判沙汰にまでなったといいます。両者とも役行者直伝の二大本家であるのだから、決着のつくはずもありませんでした。その時、名判官の大岡越前守は孔雀明王陀羅尼経の功徳による信仰と済世利人の本旨をとって、中之坊のを「陀羅尼助」、大峯のを「陀羅助」とするという裁きをつけたというお話です。(当麻寺中之坊)

 現在、陀羅尼助は上述の各地で製造販売されており、ネット上で知る限りでは以下の通りです。

天川村洞川
銭谷小角堂 松谷清造本舗 辻彦平本舗
紀伊国屋甚八 久保治 西川清五郎本舗
吉野勝造商店 梶庄本舗 西浦清六本舗
花谷丑松 奥村博本舗 増谷久八商店
丸屋 弥平堂
葛城山
當麻寺中之坊
吉野山
藤井利三郎薬房
高野山
大師陀羅尼製薬 小滝弘法堂

 陀羅尼助の製法については、当麻寺中之坊のサイトの「1300年の製法写真館」に詳しく記されてあります。